2024.07.02
「屋根が浮いている」と言われたら?知っておきたい棟板金が招く屋根トラブル
訪問営業に突然「屋根の板金が浮いている」「釘抜けが起きてるかも」「今すぐに修繕しないと雨漏りする」などと言われて不安...とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
結論、屋根の浮きは地上から目視で判断することは極めて難しく、こうした営業は悪徳業者である可能性が高いと言えます。とはいえ、もしも棟板金の浮きや釘抜けが実際に起きている場合は深刻な状況と言えます。
本記事では棟板金の浮き・釘抜けについて詳しく解説していきます。
「屋根が浮いている」ってどういう状態?
棟板金と屋根材の間に隙間ができる劣化症状をいいます。実際に地上から黙視することは難しいですが、強風時にバタバタと音がしたり、雨漏りが発生するなどがきっかけで発覚することが一般的です。
主な原因は経年劣化とされており、強風や雨などで錆びてしまった釘が抜けてしまったり、下地の木材が腐食してしまうことで屋根材と棟板金との固定力が低下することで発生します。積雪地域では雪の重みによって棟板金に負荷がかかるのも浮きの原因になることもあります。
棟板金とは?
屋根の最も高い部分である棟(むね)に設置される金属製の板金部材を棟板金と呼びます。下地となる貫板と呼ばれる木材や樹脂製の部材に釘やビスで固定される構造になっており、スレート屋根や金属屋根の屋根材同士の接合部分(頂点)を覆っています。
棟板金には「雨水の侵入防止」と「屋根材の固定」の大きく2つの役割を担っています。強風や地震に耐えうる強度を保ちながら、雨漏りや屋根下地の腐食の防止を実現しているのです。
浮いた棟板金が引き起こすトラブル5選
棟板金の浮きは一見すると軽微な問題に思えるかもしれませんが、この状態を長期間放置することで建物全体に深刻なトラブルが発生するケースがあります。以下では棟板金の劣化症状が進行することで発生する可能性があるトラブルについて解説していきます。
1.断熱性能の低下
第一に、屋根に隙間が生まれることで建物全体の密閉性が損なわれ、外気が屋根裏に侵入しやすくなります。夏場は暑い外気が入り込み、冬場には暖かい空気が逃げやすくなるため、断熱性能が低下し、冷暖房効率の悪化が考えられます。
2.屋根下地の腐食
棟板金が浮くことで雨水や湿気が屋根内部に侵入する経路を作り出します。この侵入した水分が屋根の木材下地に直接触れることにより、腐食が進行するリスクが高まります。これは目に見えない状態で進行していくため、気が付いた時にはすでに深刻な問題になっていることも少なくありません。腐食した木材の修復は難しく、最悪の場合建物全体の大規模な改修工事が必要になる可能性もあります。
3.カビやシロアリの発生
湿気の多い環境はカビやシロアリが好む環境です。継続的に湿気にさらされることで急速に繁殖が進み、その影響は室内にまで広がります。アレルギー反応や呼吸器系の問題を引き起こす原因にもなる可能性が高いです。カビやシロアリの駆除には専門的な処置が必要になるだけでなく、一度発生すると完全な除去は難しいとされるため、根本的な解決のためには多額の費用が掛かることは間違いないでしょう。
4.雨漏りの発生
ここまで症状が進行しているとルーフィング(防水機能)が大きく低下します。特に強い雨や台風の際、雨水が屋根内部に侵入しやすくなります。初期段階では天井や壁に小さなシミが現れる程度かもしれませんが、放置すると被害は急速に拡大します。建物内部の構造や電気系統にまで悪影響を及ぼすリスクを高め、建物全体の寿命を著しく縮め、最終的には大規模な改修工事や建て替えが必要になる可能性があります。
5.強風による二次被害
浮いてしまった棟板金は強風で飛散しやすく、周辺の屋根材を損傷させるだけでなく、台風などによって周辺の屋根材も損傷を受けたり、最悪の場合は人身事故につながるリスクもあります。さらに飛散後には屋根の頂部が完全に露出した状態になり、前述の問題が一気に悪化する恐れがあります。
症状の進行度別にみる修繕方法
1.釘・ビスの打ち直し
症状が軽度の場合は新しい釘やビスで再固定します。必要に応じてコーキング(シーリング材)も打ち直すことで防水性を高めることができます。
2.棟板金の交換
症状が重度の場合や、棟板金自体が損傷している場合は棟板金の交換が必要になります。既存の棟板金を取り外し、新しい棟板金を設置します。固定には釘よりも耐久性の高いビスを使用し、さらにコーキングで補強することでより長期的な耐久性が期待できるでしょう。
3.貫板(ぬきいた)から交換
棟板金の下にある貫板が腐朽している場合は、貫板から交換する必要があります。この方法は最も大掛かりで屋根材を一部はがして作業を行います。貫板交換の際は古い釘穴をしっかりとシールして雨漏りを防ぐことが重要です。
ここまで代表的な修繕内容をご紹介しましたが、劣化状況によって施工内容は異なります。進行の度合いによっては棟板金以外の箇所にも影響が及んでいる可能性もあるため、具体的な修繕方法は専門業者による詳細な診断を受けることが第一となります。
修繕の費用相場
修繕方法の費用相場としては以下のようになります。
釘やビスの打ち直し:2万円-8万円
棟板金の交換工事:1mあたり3,000円-5,000円
貫板交換工事:1mあたり3,500円-5,000円
なお、足場の設置が必要になる場合や、オプションに錆止め塗装を含める場合は別途加算され、総額で30万前後になるケースもあります。修繕方法が複雑になるほど費用は高額になる傾向にあります。
棟板金の定期メンテナンスは住まいを守るカギ
い一見小さな問題に思えても、家全体に深刻な影響を及ぼすリスクが高い劣化症状が「棟板金の浮き」なのです。とはいえ、屋根は目視で点検するには難しい場所であるがゆえに早期発見がなかなか難しいため、屋根の耐用年数に応じたメンテナンスを実施することが求められます。
当社では職人による丁寧な点検を通して修繕のご提案しております。屋根の状態に不安がある方はまずはお気軽にご相談ください。お住まいの屋根の状態に不安がある方まずはお気軽にご相談ください。
2024.07.02
屋根の劣化症状からメンテナンス時期まで徹底解説!
屋根の劣化は目に見えない分見過ごされやすいですが、時間の経過とともに適切なメンテナンスを怠ると深刻な問題につながる可能性があります。ここでは、代表的な屋根の劣化症状とその原因について解説します。
屋根は家全体を守る重要な役割を果たしているため、状態には注意を払う必要があります。
知っておきたい5つの屋根劣化サイン!
1.屋根材のずれ・浮き
特にスレート屋根や金属屋根において、屋根材が本来の位置からずれたり、浮き上がったりしている状態は劣化のサインです。
経年劣化と気象条件が主な原因と考えられており、長年の雨風や温度変化により、屋根材自体が劣化して変形したり、屋根材を固定している釘やビスが緩むことで発生します。また、地震や強風などの突発的な外力によっても引き起こされることがあります。
2.塗装の劣化
屋根の塗装が色あせたり、はがれたり、ひび割れたり、表面がチョーキングする症状がみられる場合は塗装が劣化していると言えます。
主に紫外線や熱、水が原因です。太陽光に含まれる紫外線が塗料の樹脂を破壊し、熱による膨張収縮や雨水の影響で塗膜が劣化していきます。また、大気中の酸素による酸化も劣化を促進させていると考えられています。
屋根の塗装は塗料によって耐用年数が設定されているため、それに応じたメンテナンスが求められます。
3.瓦の滑落・落下
屋根瓦の一部が元の位置からずれたり、完全に落下したりしている状態です。
瓦屋根は本来、メンテナンスの必要がほとんどないとされていますが、長年の雨風にさらされて下地材や漆喰が劣化し、瓦を固定する力が弱まった状態で、地震や強風などの大きな力が働くことで引き起こされていると考えられています。
4.棟板金の劣化
症状として屋根の頂部にある棟板金の固定力が低下して浮き上がったり、変形したり、錆びたりしている状態が見られます。
主な原因は気象条件と経年劣化とされており、長年の温度変化や振動によって棟板金を固定する釘やビスが緩んだり、雨水の侵入や結露によって下地の木材が腐食していることが考えられています。
5.雨漏り
室内の天井や壁にシミやふくらみが現れたり、雨水が室内に侵入する状態を指す「雨漏り」ですが、これは前述の劣化症状が進行した結果として発生するトラブルです。建物の劣化によって雨水が屋根や外壁から内部に侵入し、最終的に室内まで到達することで雨漏りが起こります。
ここまで進行している場合、防水層(ルーフィング)も劣化している恐れがありますので、原因となっている箇所を正確に見極め、慎重に修繕工事を行うことが求められます。
【危険度別】今すぐやるべき劣化はどれ?
屋根の劣化症状は時間の経過とともに進行するため、放置しているといずれ住宅の構造体にまで悪影響を及ぼす可能性があります。以下では5つの劣化症状を修繕の緊急度別にご紹介します。深刻な劣化症状を見極め、効果的な修繕計画を立てましょう。
優先度「高」:屋根としての機能を失っているケース
①:雨漏り
雨漏りは屋根の劣化が進行した結果として現れる最も深刻な症状の一つです。建物内部に水が浸入すると、建物内部の損傷・構造体の劣化・電気系統への影響など、様々な二次被害を引き起こすリスクが極めて高くなります。雨漏りが確認された場合は、即座に専門家に相談し、原因の特定と修理を行う必要があります。
②:瓦の滑落
瓦の滑落は安全性の観点からも非常に危険な状態です。落下した瓦を放置しておくと重大な事故につながる恐れがあります。また、瓦が欠けた箇所から雨水が浸入する可能性も高まり、カビの発生や雨漏りといったトラブルにつながるため、早期の撤去と修繕が必要です。
③:屋根材のずれ・浮き
屋根材のずれや浮きは、雨漏りの直接的な原因となる劣化症状です。前述のとおり、雨漏りは進行すると建物全体の寿命にも影響しかねない深刻なトラブルですので、これを防ぐためにも早急に修繕しなければなりません。
優先度「中」:経年劣化が見られるケース
①:塗装の劣化
長期的には屋根材の耐久性にも影響がある症状ですが、即座に雨漏りなどの深刻な問題につながる可能性は低いため、ほかの劣化症状と比べると優先度は低くなります。ただし、放置すると屋根材の劣化が加速し、さらなる症状に繋がりますのでメンテナンスの検討が必要になります。
②:棟板金の劣化
棟板金の劣化は屋根の防水性能に影響を与える可能性がありますが、塗装の劣化と同様に、深刻な問題ではありません。ただし防水層(ルーフィング)の劣化が進行すると雨漏りのリスクが高まるため、必要に応じて交換することを検討してください。
屋根材ごとの「メンテナンス目安時期」ってどれくらい?
ここまで屋根の劣化症状について解説してきましたが、屋根というのは、常に外気にさらされている部分ですから、経年劣化は避けられないものです。以下では、メンテナンスを計画するべき時期について屋根材別に解説します。前述の劣化症状が見られる前に対策して、住まいを守りましょう。
粘土瓦:15〜30年
50-100年というの圧倒的な耐用年数を誇る瓦屋根は基本的に問題がなければメンテナンスの必要がないとされていますが、前述した劣化症状の一つである「瓦の滑落」を防ぐメンテナンスとして漆喰の補修が効果的です。漆喰は約20年で劣化するため、これに合わせて計画することをおすすめします。
トタン屋根:5〜15年
金属屋根の中でも特に錆びやすいトタン屋根はこまめなメンテナンスが必要です。
錆を防ぐための塗装はもちろん、コーキングにも注意が必要になります。劣化症状が進行してしまうと全面的な葺き替え工事の必要があるため、最低でも15年単位で屋根の状態の確認が必要になります。
スレート屋根:10〜15年
軽量で施工しやすいと人気のスレート屋根ですが、経年劣化には注意が必要です。
メンテナンス内容としては10年前後の再塗装が一般的ですが、20年ほどで下地のルーフィングが劣化してしまうため、塗装は2-3回が限度とされています。いずれ全面的な葺き替えが必要になる屋根材ですから、劣化症状が気になる方は一度専門業者に相談することを検討してください。
ガルバリウム鋼板:5年
金属屋根の中では耐久性に優れているガルバリウム鋼板ですが、色褪せや塗膜の劣化、傷や錆びなどの劣化症状が見つかり次第、部分的な補修を行うだけでも耐用年数以上の長寿命化が期待できます。
劣化サインは専門家に相談を
いかがでしたか?前述のとおり、常に外気にさらされている屋根には経年劣化が避けられないものです。とはいえご自身での目視が難しい場所でもありますから、専門家に点検・診断を依頼することをおすすめします。
大規模な修理や突然の雨漏りを防ぐためにも早めの対応を心がけましょう。
2024.07.02
瓦の滑落・落下は危険サイン!屋根劣化の兆候と対処方法を解説!
瓦が滑落・落下してしまうのは、屋根にとって深刻な問題です。
このような事態が発生した場合、多くの方が不安を感じると思います。ここでは、瓦の滑落・落下が起きた際の状況把握や対処法について解説します。
滑落はなぜ起こる?屋根の状態を示すサイン
ケース1:経年劣化で瓦が滑りやすくなっている
瓦屋根の最大の敵は経年劣化です。滑落が起こる大きな要因のひとつも「経年劣化」です。
たとえば「漆喰の劣化」や「釘浮き」など瓦を固定している箇所が経年により緩んだり、錆びたりすることで、瓦の固定力が低下してしまいます。
特にセメント系の瓦(モニエル瓦など)は、長年の使用で表面のスラリー層が劣化し、瓦自体が脆くなることがあります。
ケース2:自然災害で瓦そのものが脆くなる
地震や台風やなどの自然災害により、棟部(屋根の頂点部分)が倒壊したり、個々の瓦がずれてしまっている可能性があります。
またケースとしては稀ですが、雹(ひょう)や落雷などの直接的な衝撃によって、瓦が破損することがあります。
瓦が滑落・落下してしまった場合の対処法
1. まずは安全を確認する
まず最初に、落下した瓦による怪我や被害がないか確認しましょう。
瓦が地面に落ちている場合は、周囲の安全に十分注意してください。また、屋根の状態を地上から観察し、さらなる落下の危険がないか確認します。
2. 応急処置を行う
雨漏りを防ぐため、応急的な処置が必要です。ブルーシートなどで損傷部分を覆い、一時的に雨水の侵入を防ぎましょう。ただし、屋根に上るのは危険ですので、専門家に依頼することをお勧めします。
3.塗装業者などの“ 専門家”に連絡する
瓦の修理や交換は専門的な知識と技術が必要です。信頼できる屋根工事業者に連絡を取り、できるだけ早く点検と修理を依頼しましょう。業者は被害の程度を評価し、適切な修理方法を提案してくれるはずです。
4. 原因を特定し、予防策を講じるのも大切!
瓦の滑落や落下の原因を特定することが重要です。強風や雨、経年劣化、不適切な施工など、様々な要因が考えられます。原因が分かれば、今後同様の問題が起きないよう予防策を講じることができます。
【ポイント】火災保険が適用されないか確認する!
家屋保険で瓦の修理や交換がカバーされる可能性があります。保険会社に連絡を取り、補償の範囲を確認しましょう。ただし、小規模な修理の場合は、保険を使わずに自己負担で対応した方が長期的には保険料の上昇を抑えられる可能性もあります。
瓦の落下は“屋根そのものの劣化”サイン!
本記事でも解説したように、瓦の落下はそもそも危険なのはもちろんですが、「瓦一枚がたまたま飛んで行った」というケースは少なく、屋根や瓦全体が劣化してしまっていることによる場合がほとんどです。
当然滑落を防ぐことも大切ですが、劣化によって雨漏りなどの二次災害に気づくためのサインでもありますので、屋根材の滑落が起こったら、まずは屋根点検を行うようにしましょう。
当社では職人歴【20年以上】の経験と知識をもとに、屋根の劣化状況を診断・補修いたします。
また劣化の相談をすると「軽微なものでも営業をされそう…」と思われるかもしれませんが、私たち馬渕塗工では、お客様のご自宅を丁寧に診断し、「やるべきならやる、やらなくてもよければ”経過見でOK”」としっかりお伝えしておりますので、ご安心ください。
放置し続けて手遅れになってしまわぬよう、ご自宅の屋根メンテナンスならお気軽にご相談ください!
2024.05.29
【施主への影響は?】4月からの「本足場の義務化」の背景と変更点を解説!
2024年4月から、厚生労働省による「本足場の義務化」に関する新しい規制が施行されます。これにより、建設現場における足場の使用方法や管理体制が大きく変わります。
本記事では本足場の義務化の概要や、それによる変更点について詳しく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
そもそも「本足場の義務化」とは?
2024年4月1日から施行される労働安全衛生規則の改正により、建設現場での「足場設置」に関する新たな規制が導入されます。この改正により、幅が1メートル以上の箇所では、原則として本足場(ほんあしば)の使用が義務付けられます。
参考:『足場からの落下防止措置が強化されます|厚生労働省』
従来は”一側足場でもOK”だった
一側足場(ひとかわあしば)とは、建築物の外壁面等に沿って建地(支柱)を一列設置して組み立てる足場のことを指します。
狭いスペースや建物に近接した場所でも設置しやすく、コストが安く、設置も簡単というメリットがありますが、安全性が低く、手すりの設置が難しいため、転落事故が発生しやすいのが課題です。
一側足場については下記記事でより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
4月以降「本足場の設置」が義務に
本足場とは、建築物の外壁面等に沿って建地(支柱)を二列設置して組み立てる足場のことを指します。
二側足場(ふたかわあしば)とも呼ばれ、足場の基本形として広く使われています。二本の支柱の間に作業板を渡すため、比較的広い作業面を確保でき、安全性や作業性が高いのが特徴です。また、手すりの設置も可能であり、墜落・転落災害の防止に優れています。
義務化の背景は「墜落・転落事故」を防ぐため
この法改正の背景には、建設現場における墜落・転落事故の多発が挙げられます。
建設現場で使用される足場は、高所作業を行うための重要な設備であり、安全性の確保が最優先されるべきです。しかし、一側足場は支柱が片側のみであるため、安定性に欠け、作業中にバランスを崩しやすい構造となっていました。その結果、多くの労働者が墜落や転落事故に巻き込まれ、深刻な怪我や命を落とすケースが後を絶ちませんでした。
本足場の義務化は、こうした事故を未然に防ぐための措置です。本足場は両側に支柱があり、作業床の安定性が高く、安全に作業を行うことができます。さらに、本足場の導入により、作業環境の改善や労働者の安全意識の向上も期待されています。建設業界全体が安全第一の意識を持ち、労働者が安心して働ける環境を整えることが、今後の建設業界の発展にとって不可欠だというわけです。
【施主への影響】義務化に伴い、足場代が値上げに
敷地面積にもよりますが、塗装における足場費用というのは、1㎡あたり600円から1000円が一般的ですので、見積もり額としては平均して約15万円〜20万円であることが一般的でした。
しかし法改正によって、一般的な敷地のお家であれば、約3万6千円ほど足場代が加算されます。(敷地面積が1メートル以上の場合、15万円程度の追加になることも)
【注意】義務化なため、例外的に安くできる業者はない
法改正により足場費用に対する見積もり額も上がってしまうわけですが、そもそもこの本足場の設置は「義務」なわけですから、例外的に「うちは従来の費用で対応できますよ!」ということはまずあり得ません。
もともと足場というのは、安全性だけでなく「事前点検・塗り残しチェック」を行うために不可欠ですから、丁寧な施工を行うには足場設置をおろそかにすることはできません。(当社も法改正に準拠した足場設置を行っています)
2024年4月以降「うちはこれまで通りの足場代で施工できますよ〜」と売り込む業者も増えるかと思いますが、むしろ足場代が従来のまま(15万円程度)、もしくはコストカットを提案されるようであれば、安売りを切り口にした悪徳業者の売り込みである可能性もあると覚えておきましょう。
当然すべての業者を”悪徳”と決めるべきではありませんが、もしこれまで通りの足場代で見積もりを渡された場合は、施主として「法改正後の見積もりになっていますか?」と確認するようにし、悪徳業者でないか?を自らチェックすることが大切です。
足場費用に関する費用相場(計算方法)については、下記記事でより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください!
足場設置は、質の高い施工に不可欠!
本記事でも解説したように、今回の法改正によって安全性が強化された反面、今後は足場に対する費用が増加します。これは法改正の影響のため避けて通れない内容です。
当社では職人歴【20年以上】の経験と知識をもとに、末長く美観を保てる外壁塗装を行います。
また外壁劣化の相談をすると「軽微なものでも塗装営業をされそう…」と思われるかもしれませんが、私たち馬渕塗工では、お客様のご自宅を丁寧に診断し、「やるべきならやる、やらなくてもよければ”経過見でOK”」としっかりお伝えしておりますので、ご安心ください。
放置し続けて手遅れになってしまわぬよう、ご自宅の外壁メンテナンス(塗装・塗り替え)ならお気軽にご相談ください!
2024.05.29
外壁塗装の足場はなぜ必要?足場費用に関する”セールストークの罠”も解説!
外壁塗装の見積もりにおいて「足場の設置費用が思ったより高い…」と思うことがあると思います。しかし足場というのは職人の安全性を担保するだけでなく、塗装の仕上がりを担保するためにも重要な役割を担っているのです。
本記事では、外壁塗装における足場の重要性や、最新の足場費用まで詳しく解説していきます!
2024年4月に施行される「本足場の義務化」については、下記記事でより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
そもそもなぜ足場を設置するの?
足場というのは、職人が安全に施工を行うために不可欠な道具ですが、実は施工の質を高めるためにも重要な役割を担っています。ここからは「足場の必要性」について詳しく解説していきます。
理由1:「事前点検・施工後チェック」の精度を高めるため
足場を設置する理由の一つは、「事前点検および施工後のチェックの精度を高めるため」です。建設現場や修繕工事では、安全かつ効率的に作業を進めるために、細かいところまでしっかり確認できる環境が必要です。足場があると、作業員は高い場所でも安定して作業でき、細部までしっかり目視で確認できます。また、施工後の品質チェックでも、足場があればより正確に徹底した検査ができ、工事全体の品質を向上させることができます。
理由2:「飛散防止ネット」設置で、近隣トラブルを防止するため
足場を組む際には「飛散防止ネット」を取り付けることが一般的で、塗料や高圧洗浄の水が周囲に飛び散るのを防ぎます。塗装工事中に近隣の車や窓が汚れるとトラブルの原因になりますが、飛散防止ネットはこうしたトラブルを未然に防ぎ、良好なご近所関係を保つために重要です。どれだけ良い仕上がりでも、周囲に迷惑をかけては意味がありません。足場は工事の品質だけでなく、近隣への配慮にも欠かせない要素です。
しっかりと足場を組まないといけないワケ
①:塗り残しなどの最終チェックができない
足場を組まずに外壁塗装を施行すると、職人による施工後の最終確認が難しくなります。
全体の塗装面を詳細に点検することが困難となり、塗装漏れやムラを見逃すリスクが高まりまる上に、塗装業者自身も細部までチェックするのが難しく、万一の塗り残しなどを目視で確認できなくなってしまいます。
②:”施工の質”そのものが下がってしまう
足場を組まずに外壁塗装を行うと、職人が安定した姿勢を保つことが困難になります。
不安定な場所でバランスを取りながら作業するため、塗装のムラや不均一な塗り方が発生しやすくなりますし、作業中の疲労やストレスが増し、集中力が低下することで塗装の精度や仕上がりにも悪影響が及ぶ可能性があります。
丁寧な施工を行うためには、しっかりとした作業台(足場)が必要になるわけです。
足場代をカットするセールストークには要注意!
大前提、足場というのは「勝手に建てて、勝手に作業する」ことができません。
足場は設置責任者(点検者)による署名が必要なほど入念に建設しなくてはならないもので、費用も二階建て住宅であれば平均して15万円から20万円ほどです。
また2024年4月にからは「本足場の義務化」により、さらに足場建設の基準が厳しくなることから、「足場代が無料になる」ということはまずあり得ません。(何らかしらの費用を割増しして帳尻を合わせるケースがほどんど)
つまり足場代をはじめ、適切な塗料で、適切な面積を、適切な費用で塗装しようとすると足場代をカットすることはできないはずです。万一、足場代などの作業代を切り口に営業された場合は、その金額を鵜呑みにするのではなく、その他の業者見積もりと比較するようにしましょう。
本来、塗装は営業すべきでない
お客様から”求められる塗装業者”を目指して
上でセールストークのお話をしましたが、そもそも外壁塗装というのは「必要になったらやる、必要なければやらない」というものですから、当社では「お客様を口説くセールストークは不要」と考えています。
私たち塗装業者は、お客様が末長く美しいご自宅を保つお手伝いをする職人ですので、本当に必要なお見積もりをお出しするのはもちろん、見積もりにご不明点があれば納得いただけるまで丁寧にご説明いたします。
また外壁劣化の相談をすると「軽微なものでも塗装営業をされそう…」と思われるかもしれませんが、私たち馬渕塗工では、お客様のご自宅を丁寧に診断し、「やるべきならやる、やらなくてもよければ”経過見でOK”」としっかりお伝えしておりますので、ご安心ください。
放置し続けて手遅れになってしまわぬよう、ご自宅の外壁メンテナンス(塗装・塗り替え)ならお気軽にご相談ください。
2024.05.29
外壁塗装でよく聞く「一側足場」って何?構造や特徴を詳しく解説!
外壁塗装を行う際に使用される「一側足場(ひとかわあしば)」とは、建築現場での効率的な作業をサポートする足場設備の一つです。今回は、一側足場の構造や特徴、また関連する本足場(二側足場)について詳しく解説します!
一側足場の構造と適した設置場所
構造について
一側足場は建物の外壁に沿って設置される足場で、支柱(建地)を片側にだけ設置する形式です。
支柱にブラケット(持送り枠)を取り付け、その上に作業板を敷いて作業スペースを確保します。片側にしか支柱がないため、設置スペースが限られた場所でも利用しやすいという利点があります。
設置場所について
一側足場は、建物の外壁面に沿って支柱を1列設置し、その支柱にブラケットで作業板を固定する形式の足場なため、隣接する建物との距離が近い場所や、足場を組むスペースが限られている場所での設置に向いています。
また足場の仮設場所に撤去困難な障害物がある場合や、建物の外面の形状により1mに満たない隅角部を設ける必要がある場合に適しています。
さらに一側足場は、二側足場(ふたかわあしば)や枠組足場を設置するスペースが確保できない場合に使用されます。特に敷地が狭くて他の足場を組むことができない場合に選ばれることが多いです。
一側足場にも大きく2種類ある
①:くさび式足場
くさび式足場は、部材の接続部分に「くさび」という部品をハンマーで打ち込んで組み立てる形式です。このタイプの足場は設置や解体が簡単で、中低層建築工事に多く使用されます。
②:ブラケット付き一側足場
支柱にブラケットを取り付け、その上に作業板を敷き詰める形式の足場です。狭小地での使用が一般的で、設置スペースが限られた場所での外壁塗装に適しています。
今年4月から「本足場(二側足場)」の設置が義務に
2024年4月から施行される労働安全衛生規則の改正により、幅が1メートル以上ある箇所には原則として本足場(二側足場)を設置することが義務付けられました。これにより、一側足場の使用範囲が制限されることになります。
本足場(二側足場)とは縦方向の支柱を内側と外側に2本設置し、その間に作業板を通すタイプの足場のことで、作業者の転落・墜落事故防止のために、この本足場の義務化が施行されました。
「本足場の義務化」については、下記記事でより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
一側足場のまとめ
外壁塗装において、一側足場は狭いスペースでも設置できる利便性の高い足場ですが、2024年4月からの労働安全衛生規則の改正により、一側足場の使用範囲が制限されることも考慮しなければなりません。
施主の皆さんは、依頼業者が「法改正に基づいた本足場の設置を行っているか?」を確認するようにしましょう。
2024.05.29
塗装前必見!外壁塗装の「足場」について名称から費用相場まで詳しく解説!
外壁塗装における「足場」とは?
足場とは、高所での作業を安全かつ効率的に行うための仮設構造物です。特に塗装業界では、建物の外壁や高い部分を塗装する際に必要不可欠です。
通常、金属製のパイプや板材を組み合わせて構築され、状況に応じて高さを自由に調整できます。
足場材の名称
支柱
支柱は足場の骨組みを形成する垂直の柱です。
足場の強度と安定性を確保するために、一定間隔で設置されます。支柱は通常、鉄製やアルミ製のパイプで作られ、足場全体の高さや形状を支える重要な部材です。支柱の間隔は通常1~2メートル程度で、建物の形状や高さに応じて調整されます。
ブラケット
ブラケットは支柱に取り付けられる金具で「踏板を支える・繋ぎ合わせる役割」を果たしています。
単管ブラケット足場では、単管パイプにブラケットをボルトで固定し、その上に踏板を設置します。またブラケットの取り付けには手間がかかるため、足場設置の作業時間がかかる要因でもあります。
踏板(ふみいた)
踏板は作業員が歩行するための板で、支柱やブラケットに固定されます。
作業員が安全に移動できるようにするためのものです。踏板は通常、鉄板や木板で作られ、足場のサイズに合わせて設置されます。踏板の幅は約40cmが一般的で、安定した作業環境を提供します。
手摺(てすり)
手摺は作業員の墜落を防止するために設置される水平の柵です。
足場の外側に取り付けられ、作業床の周囲を囲むように設置されます。手摺は作業員が高所で安全に作業できるようにするための重要な安全装置です。労働安全衛生規則により、高さ2メートル以上(一側足場を除く)の作業には手摺の設置が義務付けられています。
ジャッキ
ジャッキは足場の高さを調整するための装置です。
足場の基礎部分に設置され、足場全体の水平を保つために使用されます。ジャッキは地面の不均一さを補正し、足場の安定性を確保するために重要です。
施工時に足場を組む理由は?
外壁塗装で足場を組む大きな理由は、職人の転倒や落下を防ぐ他、職人の作業効率が向上し、塗装の質を高めるために組まれます。ハシゴや脚立では不安定な体勢での作業が多く、塗りムラや塗り残しが生じやすくなりますが、足場があれば安定した姿勢で作業できるため、塗膜の厚みが均一になり、美しい仕上がりが期待できます。
また足場に飛散防止ネットを取り付けることで、塗料や高圧洗浄の水が周囲に飛び散るのを防ぎ、塗装工事中に近隣の車や窓が汚れるといったトラブルを未然に防ぐためにも欠かせない要素なのです。
外壁塗装における「足場の重要性」については、下記記事でより詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください!
足場の費用相場について
ここからは具体的な費用について解説していきますが、大前提「足場費用」というのは、設備費用だけでなく、
足場費用(設備費用+設置・撤去作業費を含む)
飛散防止ネット費
昇降階段費用
といった足場にかかわるすべての費用を含めた料金のことを指します。
(業者によっては「足場費用+ネット・階段費用」のように分けて記載するケースもあります)
また足場の種類によっても費用感が異なりますので、以下で詳しく説明します。
一側足場の場合:1㎡あたり600円〜900円
一側足場(ひとかわあしば)とは、建物の外壁に沿って設置される足場で、支柱(建地)を片側にだけ設置する形式です。設備量が少ないため、後ほど紹介する「本足場」よりも費用感はやや控えめです。
また足場の費用は「足場面積」×「1㎡あたりの単価」で計算されますので、大きさにもよりますが戸建て住宅の場合は約15〜20万円が相場となります。
下記記事では「一側足場」について詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
本足場(二側足場)の場合:1㎡あたり1,300円〜1,600円
本足場とは建築の外壁に沿って、支柱を二列設置して組み立てるタイプの足場です。一側足場と比べて設備量が多くなるため、費用相場としては約20〜30万円程度が相場となります。
また本足場の場合は、飛散防止ネットや昇降階段費用に加えて、「中外てすり(2本)+巾木ネット費用」が含まれるため、合計費用としても一側足場よりも若干高くなります。
【ポイント】足場費用は”建物の高さ”によって変わる!
上で1㎡あたりの単価と解説していますが、結局のところ「1㎡あたり単価=建物の高さ」に比例しますので、足場費用がどれくらいかかるか?は、お家の高さによって変わると考えていただくと良いです。
当然ですが、2階建て、3階建て…と高くなるほど、それにあわせて足場の本数も増えるわけですから、おおよその目安として「自宅が何階建てか?」で若干費用が増減すると覚えておきましょう。
一側足場
本足場
1階建て
約15万円
約20万円
2階建て
約20万円
約25万円
3階建て
約25万円
約30万円
※上表の本足場費用は、一般的によくある「ご自宅の南面(庭・駐車場)を本足場を使用する際」の費用参考
2024年4月から「本足場(二側足場)」の設置が義務に
2024年4月に施行された「本足場の義務化」によって足場設置に対する法改正が行われたことにより、外壁塗装における足場設置費用も値上がりするようになりました。
「本足場の義務化」については下記記事でより詳しく解説していますので、あわせてこちらもご覧ください。
末長く美観を保つ塗装には「適切な足場設置」が不可欠
本記事で解説した通り、足場には品質保証やトラブル防止など重要な役割があります。
できるだけ節約したい、と思われがちな足場費用ですが、高い施工品質のためには必要不可欠なものです。法改正に対応し、適正価格を提示する塗装業者に依頼するようにしましょう。
当社では職人歴【20年以上】の経験と知識をもとに、末長く美観を保てる外壁塗装を行います。
また外壁劣化の相談をすると「軽微なものでも塗装営業をされそう…」と思われるかもしれませんが、私たち馬渕塗工では、お客様のご自宅を丁寧に診断し、「やるべきならやる、やらなくてもよければ”経過見でOK”」としっかりお伝えしておりますので、ご安心ください。
放置し続けて手遅れになってしまわぬよう、ご自宅の外壁メンテナンス(塗装・塗り替え)ならお気軽にご相談ください。
2024.04.30
外壁・スーパーセランフレックス 屋根・立平葺きカバー工法にて完成致しました
外壁塗装工事が完了し、外壁にはスーパーセランフレックスを、屋根には立平葺きカバー工法を採用しました。
外壁は3×10板にリシン仕上げが施されており、お客様からの長持ちするようにというご要望に応えるため、下塗りにセラトーシツプラス、上塗りにスーパーセランフレックスを使用しました。
リシンは、モルタル外壁の表面化粧材として用いられ、骨材に樹脂やセメント、着色剤などを混ぜたものを吹き付けて施工するため、表面がザラザラとした仕上がりになります。比較的安価な仕上げ材であるため、新築住宅によく使用されています。
玄関ポーチ柱はN-90(白色)をご希望でしたので、軒天にはN-80を使用し、ポーチ柱の色とのメリハリを付けました。色を変えることで、それぞれの部位の役割の違いを明確にアピールしました。
ポーチ柱とは、庇を支える柱のことを指します。
屋根は元々カラーベストを使用していましたが、築年数とこの先のメンテナンスを考慮し、カバー工法を選択しました。
カラーベストは、セメントと繊維を主材料とする瓦で、コロニアルとも呼ばれます。最も普及している屋根材であり、セメント瓦に比べ安価で葺き替え等のメンテナンスが容易であることが特徴です。
今回使用した塗料のダイヤスーパーセランフレックスは、株式会社ダイフレックスが販売する「水性・柔軟・透湿」タイプの無機塗料です。
一般的なシリコン塗料(有機塗料)などよりも汚れに強く、優れた柔軟性を備えており、特に戸建て住宅における塗り替えに最適な塗料といわれています。通常のシリコン塗料などよりも価格は高めですが、その分耐用年数も非常に長く、長期間にわたって塗り替え後の美観を維持することができるのも大きな特徴です。