2026.04.27
【今塗装は正解?】ホルムズ海峡問題(ナフサショック)と塗装業の実態を社長に質問!
こんにちは、馬渕塗工スタッフのTです。
先日弊社代表のインタビューが中部経済新聞、岐阜新聞に掲載されました。ご覧いただいた皆様、誠にありがとうございます。
インタビューにもあったように現在、塗装業界は「深刻な塗料不足」に直面しており、塗料代・施工費共に値上がりの一途を辿っています。
しかし“家のメンテナンス”は必要不可欠ですし、放置しておけば着実に劣化は進みます。
それでも今やるべきなのか?
この情勢が落ち着いてから依頼すべき?
海峡問題と「塗装業界の実情」について弊社代表にぶっちゃけ本音で直接インタビューしました。
この記事でわかること
ナフサショックが外壁塗装の費用にどう影響しているのか
塗装費用が上がるのが「仕方ない理由」
今から塗装を依頼しても問題ない理由
費用が上がっている今、発注前に注意しておくべきこと
ナフサショックで「塗装業界」に何が起きている?
ナフサショックは、原油精製の過程で得られるナフサ(石油化学工業の原料)の供給が、中東・ホルムズ海峡の封鎖によって滞り、世界的に価格が急騰している問題です。
塗料・シンナー・シーリング材はいずれもナフサ由来のため、外壁塗装業界は直撃を受けています。まずは現場の実感から聞きました。
塗料やシーリング材はどれくらい値上がりしている?
T:現場として正直なところ、今どのくらい材料の価格が変わっていますか?
馬渕:いやー、大分頭を抱えてます。シンナー類は軒並み入荷できないし、塗料も出荷制限と納期未定ばかりで。消耗品まで出荷制限になっていて、おまけに来月からまた塗料代が値上がりするようで。本当に商売あがったりって感じですよ。
数字で言うと、業界全体では塗料・シンナーが最大80%の値上がり、断熱材も40〜50%上がっているとされています。我々が使っている関西ペイント・日本ペイント・アステックペイントも同じ流れで、1缶から変わってきていますよ。シーリング材(コーキング)も同様です。
T:ウッドショックのときと比べてどうですか?
馬渕:ウッドショックよりキツいと感じています。あのときは木材だけだったけど、今回は石油から作られる材料が全部動いていて。塗料もシンナーもシーリングも、外壁塗装で使う「主要材料」がまとめて値上がりしているので、影響の範囲が全然違うんだよね。
もっというと塗装で使うハケやローラー、あの辺りもプラスチック製品なので軒並み品薄で。
【ナフサとは何か】施主への説明として押さえておきたいこと
施主様から「ナフサって結局なんですか?」と聞かれることがあります。 簡単に言うと、ナフサは原油を精製するときに得られる石油化学工業の原料で、プラスチックや合成繊維、塗料・シンナー・シーリング材など、身のまわりの多くの製品の原料になっています。
中東のホルムズ海峡が封鎖されたことで石油の輸送ルートが滞り、このナフサの供給が世界的に不足する、それが「ナフサショック」の正体です。 外壁塗装に使う材料の多くがナフサ由来のため、私たち塗装業者には非常に直接的な影響が出ています。
塗装費用が上がるのが「仕方ない」と言える理由
施主様から「値上がりしているのはわかったけど、業者が便乗しているだけでは?」と聞かれることもあります。ここからは、費用が上がる理由をコスト構造から代表馬渕に聞きました。
塗料代は「工事費の約3割」を占める、だから材料高騰が直撃する
T:実際に「塗装代」ってナフサショックの影響を受けてるんです?
馬渕:まず知ってもらいたいのが、塗装費用の約2〜3割は「塗料を含めた材料費」なんです。
残りは人件費や足場代ですが、材料だけで3割を占めている上に、その材料が最大80%高くなっているわけなので、これは工事費に直接影響してきますよね。
当社ではデジタル秤でメーカー規定の塗布量を必ず守っているんですが、それは塗料が「半製品(希釈料を守るべき素材)」だからなんです。
希釈率や塗布量を守って初めて本来の性能が出るもので、費用を抑えたくて塗布量を削ったり、薄めすぎたりしたら“塗装の意味”がなくなってしまう。
材料費が上がっている今こそ、そこは妥協したくないと思っています。
ウッドショックより広い影響範囲、なぜ今回は深刻なのか
T:「ウッドショックのときは、結局大したことなかった」という声もあります。今回は違います?
馬渕:今回は違うと思っています。ウッドショックのときは木材だけでしたが、今回は石油由来の建材が全部です。
外壁塗装で言えば、塗料・シンナー・シーリングの三つが同時に動いていて、価格だけでなく「そもそも仕入れられない・納期が未定」というのが今の現実なんですよ。
塗料が手に入らなかったら施工自体が止まることになるので、業者としては本当に頭が痛い話ですよ。
「足場代」も上がっている、2024年の法改正について
T:ナフサ以外にも要因がありますよね。「2024年の法改正」もその一つかと思います。
馬渕:そうなんです。2024年に足場の法改正があって、本足場(複数掛け)が義務化されたんですよね。(当社のHPにも記載がありますけど)
これで足場代も20〜30%程度上がっています。
今の見積もりは、ナフサショックによる塗料・シーリング材の値上がりと、足場義務化による足場代の上昇が両方重なっているので、以前の見積もりと比べると金額が変わっていて当然なんですよ。
足場義務化の詳細と施主への具体的な影響については、こちらの記事でも解説しています。
“今から”塗装依頼しても大丈夫?
費用が上がっているとなると、「もう少し待てば落ち着くのでは」と思う施主様も多いです。ここが最も聞きたいポイントだったので、率直に聞いてみました。
「待てば下がる」は本当か?現場から見た待つリスク
T:施主様から「少し様子を見ようか」という話もよく出ます。待つのはどう思いますか?
馬渕:気持ちはわかるんですが、今回のナフサショックはホルムズ海峡の封鎖という地政学的な問題が根っこにあって“いつ解消されるか”正直見通せないんですよね。
ウッドショックのように「しばらく待ったら落ち着いた」という展開になるかどうか、今の時点では言い切れないですし。
それに、待っている間も“外壁の劣化”は進みます。
タイミングを逃すと補修が必要な箇所が増えて、最終的な工事費が上がる可能性もある。費用が高いから待とうと思っていたら、外壁の傷みが進んでかえってトータルコストが増えた…そういうケースも出てくると思います。
なので「漠然と待つ」というのはあまりおすすめしないですかね。
T:お客様にも伝えにくいところですよね。
馬渕:そうですね。でもだからこそ正直に「待つことにもリスクがある」という話はするようにしています。理由を持って判断してほしいんですよね。
代表に「今動くべき理由」を率直に聞いてみた
T:ズバリ聞きますが、今から塗装を依頼しても大丈夫ですか?
馬渕:大丈夫ですよ。費用は確かに上がっていますが、外壁を守るという塗装本来の目的は変わらないので。
外壁は常に紫外線・雨・温度変化にさらされていて、定期的なメンテナンスが必要な部位ですよね。その意味では、今から依頼することに問題はないと思っています。
ただ正直に言うと、費用が上がっている状況で「とにかく安くやってほしい」という方には少し難しい状況かもしれない。見積もり額が以前より上がることは事実なので、そこと向き合える方であれば、今動くことにためらう必要はないと思います。
こういう時期だからこそ「どれだけ安くできるか」よりも『信頼できる業者に適正な費用で依頼できるか』の方が大事になってくると感じています。塗装は5年〜10年後に差が出る仕事なので。
T:費用より「業者の質」を見極めることが今は重要ということですね。
馬渕:そうですね。費用が上がっている今こそ、なぜこの費用なのかを説明してくれる業者を選んでほしいと思っています。
今から塗装を進める上で注意しておきたいこと
「今から動くことに問題はない」とわかったところで、実際に発注前に知っておきたい注意点を3つまとめました。
「安すぎる見積もり」が危ない理由、希釈率・塗布量を守らない業者の見分け方
T:材料費が上がっているのに「明らかに安い見積もり」を出している業者はどう見ていますか?
馬渕:材料費が上がっているのにお値段そのままを維持するには、どこかで帳尻を合わせるしかないんですよね。
職人に適切な報酬を払わない
実はグレードの低い塗料(見積もりと違うもの)を使う
希釈率や塗布量を削る
このどれかだと思っています。
特に「希釈率・塗布量を削る」のは、施主様側からは見えにくいのが問題で。
塗料は半製品なので、規定を守って初めて本来の性能が出る。塗布量を削れば当然耐久性も落ちます。5年・10年後に剥がれが出てきても、その時点では対処が難しいですよ。
見積もりをもらったら、塗料名・使用量・希釈率がきちんと記載されているか確認してみてください。それが書かれていない見積もりは、少し慎重に見た方がいいと思います。
見積もりを確認する際の具体的なポイントは、こちらも参考にしてください。
着工まで時間がかかる場合がある、早めに動くことの意味
T:今、依頼が集中してきていますが、着工までの期間はどうお伝えすればいいですか?
馬渕:正直に言うと、繁忙期は数ヶ月〜それ以上お待ちいただくことがあります。
当社では1軒1軒丁寧に仕上げることを優先しているので、次のお客様への着工もその分後ろにずれていくんですよね。去年も岐阜市のお客様が8ヶ月待ってくださって、待つ価値があったと言っていただいたけど、それが実態です。
施工時期に希望がある方は、早めに動いてもらえると助かります。ただ「雨漏り」など緊急を要する場合は別で、その際はスケジュールを調整するのでまずご連絡ください。
▲岐阜市 M様からのお客様アンケート
T:早く動くほど、選択肢が広いということですね。
馬渕:そういうことです。待ってから動こうとすると、希望の時期に間に合わないケースも出てきますから。
通常の費用相場を把握した上で、値上がり幅を正しく判断する
T:現在の適正な費用の目安として、施主様にはどのくらいをお伝えしていますか?
馬渕:岐阜県で30坪(総2階)の外壁塗装なら、150万円〜200万円程度が適正価格の目安だと思っています。塗料の性能を最大限に活かした施工をする、という前提ではありますが。
“50万円・60万円でできます”という見積もりも耳にしますが、今の材料費・足場代の水準でその価格を実現するには何かを削るしかない。
値上がりの背景を知った上で見積もりを比較してもらえると、判断しやすくなると思いますよ。
とはいえ…、「初めて塗装をする方」にとっては『何を決めるべきか』『何に注意すべきか』なんてわからないと思います。あくまで“いち塗装業者”の考えとして、施主の皆様に知っておいてもらいたいことをこちらのページにまとめました。
「今まさに、塗装を検討中」という方はこちらもぜひご覧いただければと思います。
関連ページ:『初めて塗装をする方へ|岐阜で外壁・屋根塗装は馬渕塗工』
「情勢的に、今すぐ契約を!」という売り文句にも注意を
最近『現地調査に来た業者から「今契約しないと、塗料が確保できなくなるよ!」と急かされた…』という相談が増えています。
T:「ナフサショックを切り口に営業された…」という相談、代表の耳にも入るものですか?
馬渕:はい、私のところにも同じような相談がくることが多くなりましたよ…。ただ結論からいうと、これは塗装業者の「急かしセールスの常套句(じょうとうく)」というか、口実でしかないですね。
先ほども話したように、塗料はしっかりと分量を守らないと本来の機能を発揮できないんでよ。つまり使っては買い、買っては使って…という「消耗品」なんです。もちろん何年も職人をやってると『あとどれくらいで無くなるな』という予想はつくんですが、昨今は、これまでと違って『仕入れの予想』の検討が付かないんですよ。
塗料の仕入れ状況はどの業者も大差ないですし、「うちだけが今日材料を確保できる」なんて状況ではないんです。
ナフサショックで材料不足が報道されているのを利用して、施主様の不安につけ込んだ“トレンドセールス”というか。
T:「今日決めないと損する」という状況を作り出して、冷静に判断させないようにしているんですかね。
馬渕:そういうことだと思いますよ。
それから「焦って契約しちゃった」というだけならまだ良いんですが、一番注意してもらいたいのが、焦って契約した結果、後から『話が違う…!』という部分が出てくる場合。
たとえ急かされたとしても、契約を結んでいる限りは、そこに抜け漏れや不備、説明不足があっても“塗装業者の落ち度”になりづらいんです。
T:急かされたと感じたら、その日は決めない方がいいですよね。
馬渕:持ち帰ってもらって大丈夫ですし、むしろ持ち帰ってしっかり検討してください。塗装は安い買い物じゃありませんから。
まとめ:ナフサショックでも「塗装のタイミング」は今が正解
今回の対談では、ナフサショックが外壁塗装の費用に与える影響と、それでも今から動くことに問題はないという馬渕の考え方をお伝えしました。
この記事のポイント
塗料・シンナー・シーリング材はすべてナフサ由来のため、今回の価格高騰は外壁塗装に直撃している
塗料・シンナーは最大80%、断熱材は40〜50%値上がりしており、費用上昇はコスト構造上の必然
2024年の足場義務化も重なり、塗料代・足場代ともに20〜30%程度上がっている
待てば下がるとは限らず、その間に外壁の劣化が進むリスクもある
安すぎる見積もりには希釈率・塗布量の削減が隠れている可能性があるため要注意
馬渕塗工では、塗装歴20年以上の代表が自ら現場に立ち、デジタル秤で塗料を作成し、メーカー規定の塗布量を守った施工を行っています。費用が上がっている今も、塗れた状態をつくるという姿勢は変わりません。
費用感も含め、まずはお気軽にご相談いただければ幸いです。